学科紹介

教育の目的と理念

本学科では、従来の工学基礎の教育に軸足を置きながら、それらを基盤として他の分野との知識の融合による「新しい価値ともの・システムを創造しデザインする工学」として、様々な技術分野を統合した新たな学問体系を教育します。これは、従来のアナリシス主体の細分化、専門化した大学専門教育とは大きく異なり、個別技術や幅広い知識を組み合わせながら、人間中心にシステムをデザインする、いわゆるシンセシス主体の教育を強く志向する試みです。たとえば、最近の知能ロボットには、医療・福祉・介護などの人間と密接に関わる分野への応用が期待されるため、要素や機能の面はもちろんのこと、人間や環境と協調・調和した「かたち」とデザインへの配慮が必要です。本学科では、こうした環境・健康・福祉・公共の安全を理解し、国際的な視野に立って判断のできる総合システムデザイン能力を身につけた人材を育成し、社会へ送り出すことを目的としています。

  • クリエーション人々が求めている”何か”を具体的な形にするために、構成力、編集力、発想力、問題発見能力とそれを他人に対して説明できる能力を修得する。
  • テクノロジー構想やアイデアを実現するための具体的な構造や機能を、現実世界の中で設計し、それを現実のモノとして作り上げ、動かして見せるための知識と技術を修得する。
  • マネジメント経営戦略や、マーケティング、そして最適オペレーションなど、システムデザインを実際に社会の中で人々の手によって実践するために必要な知識と技術を修得する。

システムデザインとは

デザインの意味

“デザイン”ということばは、とても多くの意味を含んでいます。デザイナーといえば、ファッションデザイナー、カーデザイナー、グラフィックデザイナーなど、とてもビジュアルでクールな(かっこいい)イメージがあります。しかし、“デザイン”ということばには、いわゆる“見た目”の美しさ以上に、その背後にある“しくみ”の美しさが重要なのです。逆に言えば、しっかりとした“しくみ”があるからこそ、その結果として見た目が美しく見える、あるいは感じるのです。
もう気が付きましたか。そうこの“しくみ”は英語でいえばSystem(システム)ですね。皆さんは、システムをデザインする方法、技術、そして知識を、4年間のシステムデザイン学科でのカリキュラムの中で学び、その成果を社会の中で実践していくことが求められています。

システムとは何か?

さて“システム”とは何でしょう?多くの人は、システムというと、パソコンとか電子機器とか、銀行のATMとか、ハイテクな製品やサービスなどを連想します。これは間違いではありませんが、本来の定義は、“いろいろな要素が複雑に関係しあっているしくみ”を指すことばです。このしくみをどうしたら人々(あるいは自分自身)に役立つようにできるか、これを追求することがシステムデザインの目的です。
たとえば、かっこいい車は、実際に高性能なエンジンを積み、速く走るからこそかっこいいわけです。いや、これらのかっこよさは、燃費や環境での配慮なのかもしれません。これは、社会が求めるニーズや個人のマインドと密接に関係しています。また、それを実現するための要素技術や、生産コストとも関係しています。つまり、それらは、広い意味で“システム”なのです。

授業紹介

  • 導入ゼミナール(1年次)

    導入ゼミナールでは、大学で学ぶための基本的な事項について、10名程度の少人数のクラスに分かれて学習します。ここで担当する教員は、皆さんのクラス担当として4年間、様々な相談等にも対応することになります。

  • 基礎デザイン制作(1年次)

    素材の性質や加工特性、それらを組み合わせた構造体の工学的特徴を学び、機能的要件を満たし、且つ独創的で美しい立体物を創出する造形力を養います。

  • デザインスタジオ1(1年次)

    デザインスタジオ1ではクリエーションとテクノロジーの2つのクラスに別れ、少人数制で個別の課題を行っていきます。

  • デザインスタジオ2(1年次)

    デザインスタジオ2では、クリエーション、テクノロジー、そしてマネジメントの3グループに分かれ、それぞれの領域の課題をこなします。クリエーションでは造形の基礎を学び、テクノロジーでは製品設計における各種解析の入門を学び、マネジメントでは問題発見と問題解決の基本形を学びます。

  • 3Dモデリング(2年次)

    3DCADソフトウェアを用いて、造形デザインやコンセプト設定方法を習得します。

  • 造形デザイン実習制作(2年次)

    プロダクトデザインにおけるフォルムと操作性の完成度を高めるために、スタディーモックと呼ばれる手法を用いた演習を行います。

  • ヒューマンセンタードデザイン(2年次)

    アフォーダンスとデザインの関係や人間工学などを理解し、人を中心に置いた創造的デザインの概念設計を行う方法を演習によって学びます。

  • メカトロニクス演習(2年次)

    実習用ロボットキットを用いて、機械と電子あるいはそれらを結びつける制御機器の動作原理と、その設計方法を学びます。

  • マーケティング演習(2年次)

    製品企画で重要となるマーケティングの基礎を学び、実際の市場調査を行うことを通して、様々なマーケティング技法を習得します。

  • ビジネスモデルデザイン演習(2年次)

    マネジメントとして、あたらしいビジネスのしくみをデザインするために重要な知識を解説し、事業計画、あるいはビジネスモデルを新規に作り上げるための手順を学びます。新規に起業するための会社の作り方なども簡単に解説します。

  • プロジェクト実習・制作1(3年次)

    「プロジェクト実習・制作1」では、ものづくりのために必要となる個々の要素技術をひとつの流れとしてとらえ、それを統合的な製品開発の視点、あるいは新商品のプロデューサーの視点から理解することを目的としています。また同時に、製品の企画から設計そして製造へ至るまでのプロセスの中で、ものづくりに必要な設計情報や解析情報などを得るための手順も体得します。本科目を通して、これまで個々の講義等で得られた知識を、実際にものをつくるという実践的な視点から、より統合的な知識とすることができます。さらに、クリエーション、テクノロジー、マネジメントに関する本テキストで設定されたさまざまなトピックについて、具体的な事例を通して、より実践的な活用方法を学ぶことができます。

  • プロジェクト実習・制作2(3年次)

    ものづくりを行い、それを実際に不特定の相手に利用してもらうためには、単なるアイデアや製作者の思いだけではなく、クリエーション、テクノロジー、マネジメントのさまざまな知識によって、それを実現するための具体的な裏づけを行う必要があります。
    「プロジェクト実習・制作2」では、それぞれのグループが製品開発プロジェクトを実施し、それぞれの企画にもとづき製品開発を行います。この演習では、製品開発のために解決すべきさまざまな課題に取り組みながら、最終的な成果物である“製品開発仕様書”を完成させ、ものづくりを行う上で必要な知識と手法を学ぶことを目的とします。

  • デザインシンキング(3年次)

    デザインというキーワードをここでは広義に「問題解決」と、とらえます。デザインすることは、外観・設計・人的関係性の問題を解決するということであり、デザインシンキングとは問題を解決するための思考法・手法といえます。デザインシンキングのプロセスをワークショップ形式で追いながら、この手法を学ぶことを目的とします。

  • 未来予測デザイン演習(3年次)

    予測不可能な未来を演繹的・帰納的手法などにより、事象の分析を行うことで、視えない未来のデザインコンセプトを具現化し、商品企画やデザインに必要な洞察力を養います。

  • ゼミナール1(3年次)

    システムデザイン学科では、3年次秋学期開講の「ゼミナール2」において、専任教員の研究室いずれか1つのゼミナールを受講(研究室配属)し、当該専門分野に関する基礎知識と要素技術を学び、4年次の卒業研究・卒業制作に向けた準備を進めます。本授業では、「ゼミナール2」におけるゼミ選択の適正化のため、複数のプレゼミを受講することで、各研究室の扱うテーマやシステムデザインにおける位置づけ、必要な知識や技術を理解し、さらに自身の希望・適性を把握することを目的とします。また、学生、教員間の研究交流の活性化を図り、4年次に卒業研究・卒業制作を実施する際の多分野融合研究の基礎をつくることを目指します。

  • ゼミナール2(3年次)

    これまでシステムデザイン学科で学んできた知識を活かし、システムデザインの各領域(クリエーション、テクノロジー、マネジメント)とそれらの横断的な融合による「システムデザイン学」の考え方と目指すべき方向性に関して、それぞれの領域の教員からの指導を通じて、より深く分析・理解し、行動することを目標とします。本授業を履修する過程で、就業力の最終である「発展」段階に必要な知識と手法(スキル)を修得し、将来の社会での活動へとつなげることができます。

  • デジタルエンジニアリング演習(3年次)

    製品設計におけるコンピュータ上での解析手法として、変形や圧力、流れ、そして機構(モーション)について3Dモデルを用いて実習を行います。

  • 組込制御プログラミング演習(3年次)

    市販のマイコンのチップと、センサやアクチュエータを用いて、様々な制御機器の心臓部を制作する方法を演習によって学びます。

  • 映像情報処理(3年次)

    拡張現実感(Augmented Reality: AR)と呼ばれる、現実世界とCGによる仮想世界を融合できる最先端技術を利用することにより、インタラクティブで直観的な3次元情報を提示したり、3D絵本やキャラクタなどをあたかも現実の物体であるかのように提示することが可能になります。本授業では、このようなAR技術を利用したコンテンツを実現する方法を実際に制作しながら学びます。

  • 応用プロジェクト研究1(4年次)

    応用プロジェクト研究1では、「プロダクト」「アプリケーション」「システム」あるいは「サービス」など、各自がアイデアを創出し、それらのアイデアについて、顧客対象者、背景、類似品等について調査し、新規性、有用性、娯楽性、社会性のある企画として最終提案を行います。

  • 応用プロジェクト研究2(4年次)

    応用プロジェクト研究2では、有志によるチームを結成し、応用プロジェクト1の中で採用されたアイデア企画を具体的に実現します。優秀な作品に対しては、各種コンテストへ応募や実際のクラウドファンディングに掲載することを目指して、学科が知識供与や予算等の面でバックアップします。

  • 卒業制作(4年次)

    システムデザイン学科では、卒業研究あるいは卒業制作を行い、それを論文や作品の形で提出することが義務付けられています。例年2月に実施される最終審査会において、卒業のためのプレゼンテーションが実施され、その内容が教員全員によって審査されます。不合格の場合には、1度のみ再発表の機会が与えられ、それをパスしなければ卒業できません。

卒業論文・卒業制作テーマ(一部抜粋)

  • 人と人とのゆるやかな情報伝達機器デザインについて
  • 木漏れ日を音へ変換するための基礎研究
  • トロコイド曲線を用いたキネティックアートの制作
  • 手の影を用いて操作する動物生態学習システムのデザイン研究
  • 教育現場におけるダンス技術評価システムのデザイン研究
  • 書店での販売促進を支援する情報システムの研究
  • 各種センサを用いた乳幼児見守りシステム
  • 3次元音像定位を適用した音によるナビアプリケーションの制作
  • キーマトリクスを用いた新しい電子楽器の開発
  • Bluetoothを活用した災害時避難誘導支援
  • 平行光軸撮影によるデジタル写真測量
  • UV硬化型樹脂インクを用いた点字形成方法の研究
  • パラレルメカニズムを用いたパーソナルモビリティビークルに関する研究
  • ジェスチャ操作に適した操作音のデザインに関する研究
  • 拡張現実と音声対話を用いた学習アプリケーション開発
  • 対戦型ARアプリのための付加情報のネットワーク共有に関する考察
  • 東京六大学野球におけるデータ収集と利用方法の考察
  • エッジコンピューティングによる混合品種の組立ライン管理システム
  • 美容室の予約管理システムによる系列店舗の連携方式
  • ツイートデータを活用した検索サイトの信憑性向上に関する研究
  • 海外旅行に関する個人の価値観と民泊の利用意向に関する分析
  • 観光者向けナビゲーションアプリの開発
  • 消費者の性格および行動習慣と商品付加情報との関係
  • 陸上競技における判定の電子化
  • 犯罪者心理を利用した略奪防止策の研究
  • 生き物らしい振る舞いとインタラクティブデザインについて
  • 有機的な体躯の動きと機械的な機構の造形調和の模索
  • 自然界の現象を利用した直感的な情報伝達装置の制作
  • 幼児知育のためのブロックインタフェースのデザイン研究
  • スマートフォンを用いた動き出す雑誌コンテンツのデザイン研究
  • 影を用いた博物館情報システムのデザイン研究
  • エアドラムの電子楽器化
  • 加速度センサを用いた消費カロリー計測ツール
  • 小児喘息患者と保護者のためのデバイス
  • 顎関節における接触圧の可視化
  • 個室空間における避難時間の短縮
  • ハイブリッド型ペナルティ法による3次元トラス構造解析
  • 新しいパーソナルモビリティビークルに関する研究
  • ジェスチャ操作に適した操作音のデザインに関する研究
  • パラレルメカニズムを用いた動揺吸収装置の研究
  • リアリティのあるキャラクターアニメーションを用いたバランスゲーム
  • 音声認識を用いたクロスワードパズルアプリケーション
  • Jリーグにおけるリーグ残留条件の検討
  • コンビニエンスストアの需要予測に関する研究
  • CRPの考え方を応用した飲食店のシフトスケジューリング
  • エッジコンピュータを用いた自動売価変更システム
  • TODOリストを用いたタスク達成率向上の為のシステム開発
  • 雨天時における遅延を考慮したバスダイヤ編成の提案
  • 映画館の座席選択を分散させるプライシング
  • 学生の過ごし方と行動動機からみた会社選択基準の検討
  • 野球データを用いるためのデータ収集とその利用に関する考察
  • パーティクルシステムを用いたAR 水流シミュレーションゲーム
  • ER流体を用いた小形制動装置の研究開発
  • 茶道の伝承と野点の新作法
  • 水滴着水時の音を応用したアンビエントライトの制作
  • 音楽コンサートにおける双方向コミュニケーション支援システムの研究
  • 電車の車窓観光情報システムのデザイン研究
  • パラレルメカニズムを用いた新しいパーソナルビークルの提案
  • デジタルカメラを用いた写真測量について
  • 高齢者向け化粧補助具の開発
  • 薄明光線現象を再現したアンビエントライトの制作
  • 金属による昆虫標本の制作
  • 小型コンピュータを用いた自律型作業管理ツール
  • 気温の変化によるビールの需要予測
  • 電界共役流体を駆動源に用いたマイクロアクチュエータに関する研究
  • アメリカンフットボールにおける個人能力の分析
  • 遠近法と射影変換によるだまし絵作成について
  • 商品店頭受け取りサービスにおける動的値札変更システム
  • 加速度センサによるコントローラの研究開発
  • 感情を伝える手書き文字コミュニケーションツールのデザイン研究
  • 成形合板を用いたスツールの製作
  • ARにおける重力を利用した表現手法について
  • ある特定の印象をもたらすトマトの色彩の研究
  • 消費者の購入意向と購入実態の変化に着目した広告効果の有効性について
  • 現実の力をシミュレートしたARアプリケーションゲーム

沿革

システムデザイン学科、システムデザイン研究科のあゆみ

  • 2004年4月法政大学工学部システムデザイン学科新設 ( 一部の実習授業を市ヶ谷へ展開)
  • 2005年4月法政大学大学院システムデザイン研究科開設
  • 2007年4月工学部3学科(建築学科、都市環境デザイン工学科、システムデザイン学科)を改組転換し、デザイン工学部を設置
    学部の全授業を市ヶ谷で展開
  • 2008年4月市ケ谷田町校舎に移転
  • 2010年4月デザイン工学研究科開設(大学院デザイン工学研究科システムデザイン専攻)